血洗島に行ってみた [ツーリング(近場)]
府中街道を北上、
川越の町を抜け、R407で利根川を目指します。
妻沼(めぬま)の集落でひとやすみ。
聖天山歓喜院(妻沼聖天)に参拝しました。
日本三大聖天のひとつだそうです。
妻沼 歓喜院聖天堂
聖天様の本地・由来はやや複雑で
上手に説明はできないのですが、
あらゆる神様のうちで最も神通力が強いそうです。
森三中で喩えると大島ですね。
そもそもは真言宗の古刹で
境内には太子堂もあるのですが、
最も目を惹くのは本殿・歓喜院聖天堂でしょう。
日光東照宮を彷彿させる唐風の装飾建築で、
平成24年に国宝指定されたそうです。
本殿は拝観料 700円。
埼玉県唯一の国宝だけあって一見の価値ありです。
三方の壁面には
論語や故事に材を得た彫刻が施されており、
そのひとつひとつについてボランティアの方が
丁寧に説明してくれます。
そのうちのひとつ、
釈迦・孔子・孟子の三聖が、
甕の液体を味見している姿は
中国故事の『三聖吸酸』に由来するとか。
『酢?』『酢だね』『酢だわ』
思想は違っても真実はひとつということを
示しているのだそうです。
以前タモリ倶楽部で観たことがあります。
そういう意味があったのですね。
違うと思うぞ
軽いキャッチボールで肩が暖まったところで、
いよいよ血洗島に乗り込みます。
まずは渋沢栄一記念館を見学します。
市が運営する施設のため入館料は無料です。
深谷市 渋沢栄一記念館
ここでの目玉は渋沢翁のアンドロイド。
今日の講義は『道徳経済合一説』です。
企業は利益の追求を目的としますが、
その根底には道徳がなくてはならないという意味だとか。
翁の言葉を借りると『論語と算盤』。
近代日本を金融・産業面から立ち上げた
実業界の功労者として知られていますが、
そういった精神的バックボーンがあったからこそ
多くの協力者を得て500もの会社を
立ち上げることができたのでしょうね。
来年から発行される新一万円札の顔ですので、
深谷市の力の入れ具合がすごいです。
勢い余ってアンドロイドステッカーまで
作っちゃいました(賛助金50円/枚)。
一説には8,000万円を超える製作費は
当地出身のドトールコーヒー創始者が寄付したとか。
館内にそういった記述やPRが全くないあたり粋ですね。
記念館の裏手に回ってみました。
渋沢翁の像が建っています。
パタリロ!じゃないぞ
その視線の先には利根川支流の小山川、
更に奥には遠く赤城の山容が望めます。
この風景の下で家業を手伝い学問を修め、
人としての基礎を培ったのでしょうね。
川沿いの道で中の家(なかんち)の看板を
見つけました。
行ってみましょうか。
中の家というのは渋沢栄一が生れた土地に
妹夫妻が建てた家だとか。
生前の渋沢翁は中央での栄華より、
この地に戻って農業することを願ったそうですが、
世情がそれを許してくれませんでした。
福沢諭吉に馴染んだせいか
新一万円札への評価は
いまひとつ芳しくないそうですが、
新紙幣を手にするたび『論語と算盤』という
翁の論を思い出し、
生きたお金の使い方ができればいいですね。
中の家も無料で見学できます。
こちらは80歳頃の姿を模したアンドロイドだとか。
人生幸朗師匠の動きに
久米明のナレーションが組み込まれています。
気になる方は現地でご確認ください
縁側から庭を眺めながらぼんやりと思ったのですが、
いつでも戻れる故郷があるということは、
生きるうえでの心棒がしっかりとする気がしますね。
徳は孤ならず必ず隣あり。
若い方限定でお願いしたいのですが、
自分を涵養してくれる全てのものから
謙虚に学び・感謝し、
友人を大切にして欲しいと思います。
あと、
中の家には素敵なボランティアさんがいるので、
連絡先を交換するように。
え? 説教臭いって?
ごめん、年寄りだからね。